下の画像は前ページでも掲載したが、クローセンシステムのECUが ボディとの接触によって通電することを示している。

設計では ECUは絶縁なしにボディに取り付けられるようになっており、写真と同じ状況に陥る。 車を使わない時もECUは通電状態で、バッテリーから無駄に電気が失われる。 当然ながら その充電の為にはガソリン代がいるわけで、金額の多少は別にして ユーザー側の無駄な負担となる。
また、前ページでも触れたことであるが、設計ミスの為に リレー装置は無用化してしまう。 ユーザーは 不要品にお金を払わされている格好である。

以上の問題は、個人的には大した問題とは思っていない。
しかし、メーカーとしては、その責任上 きちんと対処すべきであろう。 顧客重視をうたい 信用を重んじる企業なら、なおさらである。
さて、欠陥クローセンシステムの一番の問題点は、バッテリー上がりを引き起こし 車が使えなくなることである。
下の画像は 私の車のバッテリーであるが、クローセンシステムを取り付けていない時の暗電流値を示す。 「暗電流」とは、車のキーを切った状態で流れる電流のことである。 キーがOFFでも、時計、マイコン、センサー等が電気を必要とする。

暗電流値は車によって異なるが、クローセンシステム取り付け対象車の場合、9mA〜18mA程度である。 私の車の18mAが最大値であり、装備が減ったり車格が下がると、暗電流値も下がる。
一方、欠陥クローセンシステムには、最初の画像にもあるように 36mAが流れる。
以上のことから、車に欠陥クローセンシステムが装着されると、元々の暗電流 9mA〜18mAに、36mAが余分にプラスされることが分かる。
これによって、格段にバッテリーが上がり易くなることは明白である。 欠陥クローセンシステムを取り付けていた為にバッテリーが上がった というケースは、いくらでも出て来るはずである。
さらに、欠陥クローセンシステムの問題は、一度バッテリーを上げれば それで終わりというものではない。 バッテリー上がりという症状が出ても、原因たる欠陥は分かりづらいからである。
バッテリーが上がり易いとディーラーに相談しても、問題は解決しないであろう。 ディーラーの通常の対応では クローセンシステムの欠陥に気付けないからである。

クローセンシステムの欠陥のやっかいな点は、簡単にはその欠陥に気付けないこと、そして、ディーラーに相談しても解決しないことである。 メーカーがきちんとした対策を取らなければ、多くのユーザーが バッテリー上がりに悩まされることになる。 このことは、月刊誌のユーザー体験談を見れば 裏付けられる話である。

具体的にどの程度バッテリーが上がり易くなるか触れておく。
上記の暗電流値から分かることであるが、車に欠陥クローセンシステムを取り付けることによって、バッテリー上がりが起きるまでの放置日数は、3分の1 〜 5分の1に短縮する。 例えば、1ヶ月放置するとバッテリーが上がる車があった場合、これに欠陥クローセンシステムを取り付けると 6日〜10日の放置で上がってしまうことになる。
また、ホンダ側のデータによれば、新品で満充電のバッテリーの場合 車に欠陥クローセンシステムが装着されていると 20日〜25日の放置で上がってしまうとのことである。
新品で満充電という最高の条件下で 20日〜25日である。 実使用においては もっと短期のバッテリー上がりが普通に起こりうる。
ところで、ソニー損害保険会社の広告によれば、日本のドライバーの7割は 年間走行距離 8000km以下とのことである。
私自身がバッテリー上がりを起こした状況から言って、欠陥クローセンシステムのユーザーで年間走行距離 7000km程度の場合 1年に3回程度バッテリー上がりを起こしそうである。
ソニー損保の広告には 年間走行距離 3000km〜5000kmの人の例が出ているが、これが欠陥クローセンシステムのユーザーなら バッテリー上がりが切実な問題となろう。
